■ なぜ国債の利払い金利が「これから必ず上昇する」のか?
昨日のブログで、国債の利回りが今後10年かけて毎年上がっていく(=借り換えで金利が切り替わる)と書きました。
ただ、私の妻が「国債の金利がなぜ今後あがるの?」との質問を受け、今日はその部分に焦点をあてて噛み砕いて説明します。
国家の根幹に関わる部分なので、知っておいて損はありません。
■ 家のローンに例えると、すべてが分かる
ゼロ金利の時代、あなたは毎年1件ずつ家を買い、
0.5%・10年固定 の住宅ローンを組んできたとします。
10年経ち、家は合計10件になりました。
しかし、世界的なインフレでゼロ金利は終わり、
金利は 1.75% まで急騰。(これが今の日本そのもの)
さあ、満期になって借り換える年が来ました。
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昨年まで:0.5%
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借り換え後:1.75%
ローン金利が いきなり3倍以上 に跳ね上がるわけです。
そして、これは今年だけの話ではありません。
10件の家があるのだから、
毎年、必ずどれかのローンが「0.5%→1.75%」に切り替わる。
つまり、
“毎年金利が上がる”という現象が10年続く のです。(10年国債の場合)
結果、家計(=財政)はどんどん苦しくなる。
日本の国債が今まさに直面している構図がこれです。
しかも、これが
1年・2年・5年・10年・20年など、あらゆる満期で合計1160兆円 ある。
危険性が“肌感”として伝わってきたと思います。
※1.75%まで急騰している金利が、何かの拍子に0.5%に戻る確率は過去の歴史を振り返っても限りなく0です。
■ 昨日起きたこと:世界が日本に「警戒」を始めた
高市政権の財政拡張政策への警戒から、
昨日ついに 債券の買い手がつかない=金利が急騰する 現象が発生しました。
これは「債券ショック」の入り口のような動きです。
現状の国債の利回り(もみ合いゾーンから一気に上に)
要因はいくつかありますが、
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日本の財政の将来への不安
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国債需要の減少
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信用の低下
日本の財政で言われているのが以下です。
■ 破産状態級の円安とは?
似た政策をとった国があります。
トルコです。
同じ構図で、
トルコリラは 2018年から現在までで約700%下落。
ドル円150円で計算すれば、
1ドル=1050円 になるのと同じです。
これはもう「破産状態級の通貨安」と呼ぶほかありません。
リフレ派が自国通貨が破産しないから借金増加させても良いという理屈は、円を壊滅的に安くすることで成り立っているのです。ここを理解している人が少ない!

■ よくある疑問:「日銀が買えば金利は下がるのでは?」
確かに、日銀が大量に国債を買えば、
需要が増えて金利は抑えられます。
これがイールドカーブコントロール(YCC)です。
しかし、ここが最大の落とし穴。
●すでに日銀は“発行済み国債の約半分”を保有している
主要国ですでに突出して日本が高い状態。
そして、インフレ中に再び買い入れをやると何が起こるか?
世界の投資家はこう受け取ります。
つまり、
“日本は沈みかけている”というメッセージになる
これは金利よりも深刻で、
円の信認そのものを破壊する行為 です。
株式市場が昨日は暴落しましたが、こちらの方がよほど重要と感じましたので、今日も国債についての記事となりました。
米国の財政も深刻なので、すでにドル離れが足元で進行しています。なので、ドル規準ではなく、ユーロやスイスフラン、オセアニア基準で日本円を観察した方が正しい立ち位置がわかると思います。