投資家KAJI の トレード戦略ブログ

投資家カジ:元教育職20年・投資・民泊・賃貸業・太陽光事業等を実施中。常に悪戦苦闘!このブログはトライ&エラーで、精進していくための記録用です。

個人の資金逃避についての考察・・・(令和のコメ騒動)

企業と個人に広がる静かなキャピタルフライト

日本は経常収支が黒字です。それにもかかわらず円安が進む。この一見すると矛盾した状況の裏で、実はとてもシンプルなことが起きています。資金が円に戻ってこない。これに尽きます。

企業はすでに資金逃避を始めている

日本企業はすでに行動しています。工場は海外に建て、海外で稼いだ利益は円に戻さず、そのまま現地で再投資。海外資産は配当や利息という形で大きな利益、いわゆる第一次所得収支を生み出していますが、それが日本に還流しない「片道切符」になっています。

数字上は黒字でも、実際の為替市場では円が買われない。だから円安になる。これは理屈ではなく、企業の行動の結果です。

そこに追い打ちをかけるように、自民党は米国への約80兆円規模の投資を快諾しました。政治的な判断としての是非はさておき、為替という観点で見れば、円高要因を自ら薄めた格好です。

個人にも見え始めた異変

先日、メディアで報じられた田中貴金属の行列。貴金属価格の高騰という表向きの理由はありますが、あれは個人によるキャピタルフライトの初動とも読み取れます。

まだパニックではありません。ただ、「円だけで大丈夫か?」という違和感が、行動として表れ始めた。そのサインが、あの行列です。

日本の預貯金はなぜ動かないのか

日本の預貯金は約1000兆円。その大半を保有しているのは60代以上の中高年・高齢者層です。彼らはネットバンキングを使わず、FX口座も持たず、資金移動を頻繁には行いません。

この構造が、日本では取り付け騒ぎが起きにくい理由でもあります。米国のシリコンバレー銀行が一気に破綻したのは、米国債の評価損をきっかけに、預金者がネットで一斉に資金を引き抜いたからでした。日本では、同じことが起きにくい。

預貯金は眠ったまま放置され、まるで岩盤のように動かない。ここまでは、日本の特殊な安定構造です。

それでも点灯し始めた黄色信号

ただし、田中貴金属の行列は、その岩盤に入った小さなヒビとも言えます。今は黄色信号。

もし仮に、銀行の窓口に高齢者が列をなし、外債や外貨、海外投資の相談を始めるようになったら。その瞬間、信号は赤に変わります。

なぜなら、眠っていた1000兆円という規模の資金が、円以外に動き始めたときのインパクトは、企業の資金移動とは比較にならないからです。若者はすでに新NISAを通じて、オルカンなどで静かに海外へ資金を移しています。本丸は、動いていない高齢者マネーです。

臨界点は突然やってくる

最近起きた「令和のコメ騒動」は、非常にわかりやすい例です。店頭で米が少し減った。それを見て「念のため買っておこう」と考える人が増え、結果として一気に在庫が枯渇し、価格は約2倍に跳ね上がりました。

市場は、臨界点に達するまでは静かです。しかし、一度動き出すと、想像以上のスピードで一気に動く。

見るべきは相場ではなく人の動き

重要なのは、為替レートの細かな数字ではありません。誰が、どの層が動き始めたかです。

特に、高齢者が何を話しているのか。銀行窓口でどんな相談が増えているのか。こうした情報は、相場よりも先に変化を教えてくれます。

今はまだ平和です。ただ、動くときは静かに、しかし一気に来る。その可能性がゼロではない以上、一応は耳を澄ませておいた方がいいとは思います。