まず、日本の債務の全体像から整理します。
長期債務(国と地方の合計)は 1,315兆円。
ただし計算をシンプルにするため、ここでは 普通国債残高 1,160兆円 をベースに話を進めます。
なお最近、「国債は借金ではない」と主張する人を見かけますが、国債は会計上まぎれもなく負債です。
バランスシート上の“債務”を借金ではないと言い張るのは、もはや逆立ちしたロジックとしか言いようがありません。
■ シミュレーションの前提
できるだけ“控えめ”に、甘めの条件で計算します。
① 債務残高
-
普通国債残高:1,160兆円
② 金利
※現実の長期金利はすでに 1.73% なので、むしろ控えめすぎる想定です。
③ 新規赤字国債の発行
-
毎年6兆円(これは過去の実績より低く設定した“甘い数字”)
■ 2026〜2035年シミュレーション
(単位:兆円)
| 年度 | 期首債務 | 平均金利 | 利払い | 期末債務(+6兆円) |
|---|---|---|---|---|
| 2026 | 1,160 | 0.80% | 9.28 | 1,166 |
| 2027 | 1,166 | 0.92% | 10.73 | 1,172 |
| 2028 | 1,172 | 1.04% | 12.19 | 1,178 |
| 2029 | 1,178 | 1.16% | 13.66 | 1,184 |
| 2030 | 1,184 | 1.28% | 15.16 | 1,190 |
| 2031 | 1,190 | 1.40% | 16.66 | 1,196 |
| 2032 | 1,196 | 1.52% | 18.18 | 1,202 |
| 2033 | 1,202 | 1.64% | 19.71 | 1,208 |
| 2034 | 1,208 | 1.76% | 21.26 | 1,214 |
| 2035 | 1,214 | 1.88% | 22.82 | 1,220 |
控えめな条件にもかかわらず、
利払いは 9.3兆円 → 22.8兆円へ、わずか10年で2.4倍に膨張。
これは“莫大な累積赤字”が持つ重力そのものです。
■ 税収との比較(10年後の姿)
人口減少を考えれば「現在の税収が横ばい」と仮定したほうが現実的ですが仮に2%インフレが続きインフレ課税で税収入が増えると仮定しても
-
税収入:約 69兆円~85兆円
-
利払い:約 22.82兆円
つまり、
税収の27%~33%が利払いだけで吹き飛ぶ。
これでも“控えめな前提”での計算です。
ちなみにアルゼンチンがデフォルトした時、
税収に占める利払い比率はちょうど 33%前後 でした。
ここまで来ると、
-
通貨はさらに売られる
-
長期金利は2%で済まなくなる
-
財政の自由度は急速に消える
もちろん、日本は新興国とは異なり、民間企業が潤沢な資金を有していますが、それでも影響は避けがたいものに。ちなみに長期金利が4%まで上昇していくと仮定したら、利払は46.4兆円になります。
■ 最後に
私がスイスに留学していた青春時代の2008年、当時のスイスフラン円は80円前後でした。今日のレートは195円です。この数字が何よりの証拠です。財政を悪化させて良いことなんて何もありません。
上記はかなり甘くシミュレーションしても、
結局は似たような結論に行き着きます。
「とにかく備えておくべき」――これに尽きます。